扁平足をお持ちの方で、内くるぶしが腫れ、痛みが発生することあります。なぜ、内くるぶしに痛みが出るのでしょうか。
扁平足は土踏まずのアーチが潰れている状態で、歩行や運動の際、地面に着地する衝撃を吸収する役割がなくなってしまうため、かかとを含む足裏やつま先に出る症状が気になります。
しかし、日常生活を営む上で足首の痛みは、なくなった方がよく治療や対処法を知っておきたいところです。
本記事では、扁平足が原因で起こる内くるぶしの痛み、後脛骨筋炎(こうけいこつきんえん)について、まとめました。
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内くるぶしの腫れ(後脛骨筋の炎症)の症状を細かく知ろう
内くるぶしの腫れ、後脛骨筋炎はどのように起こっているのでしょうか。
土踏まずのアーチは、歩行の際、地面に足がつく衝撃を和らげてくれる機能があります。土踏まずがなくなり、衝撃を緩和してくれる機能がなくなったのなら、足の裏やかかとが痛み出す、疲れやすくなるというのは、なんとなくイメージがつきやすいです。
しかし、内側のくるぶしにも痛みが生じることもあります。なぜ、内側のくるぶしの部分が腫れて、痛むのでしょうか。
舟状骨が落ちたことにより後脛骨筋が過剰に稼働
扁平足になる原因のひとつ、舟状骨(しゅうじょうこつ)や周辺の骨が落ちてしまうことがあげられます。
土踏まずが潰れたことで、足裏の方の症状に注目しがちです。表面的にはわかりにくいですが、骨や筋肉、腱は連動しています。足だけでなく、膝や腰まで繋がっているため、バランスが崩れひざ痛や腰痛も併発することも考えられます。
もちろん、足首にも何かしらトラブルが起きるはずで、内くるぶしの痛みも、土踏まずが潰れたことが原因だと推測でき、土踏まずが潰れたことにより、膝下あたりから足裏を繋ぐ筋肉の後脛骨筋(こうけいこつきん)が、正常な状態に比べて大きく稼働することにより、負担が大きくなります。
その負担が一定以上超えると、炎症してしまい、痛みとなって症状に現れます。
後脛骨筋に負担が増えたことにより炎症になる
内くるぶしの腫れや痛みは、後脛骨筋が過剰に動くことにより現れる、後脛骨筋炎が発症していることで起こります。
また、後脛骨筋腱も連動しているため、腱の方が炎症を起こしている可能性もあります。
後脛骨筋、後脛骨筋腱どちらにせよ、正常な状態に比べて、大きく動くからこそ、負担が大きく炎症を起こしやすくなると考えられます。
舟状骨が落ちることによって、膝の下あたりから足の裏を繋ぐ筋肉の後脛骨筋(こうけいこつきん)が、正常な状態に比べ大きく動くことにより、炎症を起こしてしまいます。
宮野先生
後脛骨筋炎の対処法はいくつかありますが、根本原因となっている扁平足を治していくことが、完治したといえます。
後脛骨筋炎の治し方!正しいステップで再発防止
後脛骨筋炎はどのように治していくのが良いのでしょうか。痛みの度合いは人によって違います。
まず痛みを取るところからはじめ、痛みの原因を対処し、リハビリやトレーニング等で、治していくことが大事です。
後脛骨筋炎は、扁平足が原因で起こっている症状であるため、最終的には扁平足を治すところまでいって、根本的に治療したといえます。
それでは、後脛骨筋炎の治し方を一通り見ていきましょう。
なお、後脛骨筋炎の治し方の中で、テーピングやアイシングは有痛性外脛骨の治し方と同様のものもありますので、合わせてご参考にお願いします。

炎症はアイシングと湿布で痛みを取る!安静も大事
後脛骨筋炎は、アイシングや冷湿布で処置をしましょう。患部を冷やしてあげることで、炎症が収まり痛みが引いてきます。
さらに安静にすることが大事です。
ちなみに、監修者の宮野先生に聞いたところ、紙コップに水を入れて凍らせ、それを直接患部にこするように冷やすのがおすすめですとのこと。
宮野先生
凍ったままの氷入りのコップを直接貼れた箇所にあてると、持っている手も冷えてしまうため、タオルを活用しながら持つと良いです。
宮野先生
特に痛みが強い場合は、歩行などはやめて痛みを取ることに専念するのがおすすめです。
患部の腫れが引いてきて、少しでも動けるようになったら、次のステップに進みましょう。
インソールやテーピングでアーチを固定
扁平足が原因で引き起こす後脛骨筋炎が、アイシングや湿布で収まったからといって、根本治療ができたわけではありません。
腫れが引き、痛みがなくなったと思って安心し、普段どおりの生活を行うと、再発してしまう可能性もあります。
そこでインソールやテーピングを使って、土踏まずのアーチを固定することで、再発防止をサポートしてくれます。
インソールは、土踏まずのアーチを底からしっかり支えてくれます。インソール入りの靴を履いている間は舟状骨も上がるため痛みも軽減されるでしょう。
室内ではテーピングがおすすめです。アーチを形成するようにガッチリと固定し、舟状骨を支えている間は、痛みも軽減します。
テーピングは、自分でもやり方を覚え、自宅でもできるようにしておくと良いでしょう。
インソールやテーピングで日常生活のサポートができたら、次に扁平足を治して、後脛骨筋炎の原因を断ちましょう。
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原因はスポーツ!やりがちなオーバーワークの場合は?
後脛骨筋炎の原因が、スポーツや激しい運動を起因としているなら、単純にオーバーワークの可能性があるため、走る、跳ぶなどの運動を控えてもらいます。
また、痛みが強い時期は、運動を行っても効果が出にくいため、その点も伝えます。また、足の障害に繋がるケースも有しているため、可能な限り安静にしてください。
しかし、どうしても運動をしなければならない場合は、運動後のアイシングをしっかり行ってください。
筋力低下が原因なら弱い負荷のトレーニングを徐々に
後脛骨筋は、小さくて細い筋肉であるため、トレーニングしにくい箇所でもあります。そのため、使っていないと筋力が低下し、もとの筋力に戻すために少し苦労をします。
負荷がかかるようなトレーニングは、後脛骨筋にアプローチせず、周囲の筋肉が鍛えられてしまいます。そのため、最初は椅子に座ったまま、かかとをつけてからのつま先立ちを繰り返すと良いです。
かかとを上げる時間も、3~5秒と気持ちゆっくりめに行うと効果的です。
原因が骨アライメント不良の場合はマッサージを
後脛骨筋炎の原因が、骨アライメントのズレの場合、炎症を繰り返し起こすようになるでしょう。レントゲンを撮ることで、骨アライメントのズレがどれほどのものかわかります。
骨アライメント不良を治す場合は、足部のマッサージを入念に行っていきます。骨の位置を意識した矯正を理学療法士さんに施してもらえば、徐々に改善していくでしょう。
マッサージだけでなく、地面に足をつけた際の体重のかかり具合で変わるため、インソールも有効です。
履いている靴が合わないことでも、ズレが生じてくるケースもあります。靴の見直しも合わせて行うと良いでしょう。

後脛骨筋炎の根本解決は原因の扁平足を治すこと
後脛骨筋炎は、痛みの原因となる患部を冷やし、痛みを取ります。さらに普段の生活できるようにテーピングやインソールを活用するのも同時並行にやった方が良いことがわかりました。
インソールやテーピングでアーチの形が維持している間に、アーチを支える足指の筋肉を鍛えましょう。
扁平足の原因の多くが、足指の筋肉の低下です。
舟状骨を真下から支え、指先の方に伸びている筋肉、長母指屈筋(ちょうぼしくっきん)と長趾屈筋(ちょうしくっきん)を鍛えるのが次のステップです。
足指の筋肉を鍛えるトレーニングは、様々な方法があります。チューブなどのトレーニング器具を使う方法、どの家庭にもあるタオルを使う方法、自分の身体の重さを活用する方法など、継続できる自分にぴったりな方法を見つけましょう。
具体的なトレーニング方法は、扁平足を治すトレーニングとしてまとめていますので、参考にしてください。
▼関連記事扁平足の原因は筋肉の衰え!治し方は負担の少ない足指トレーニングから
加齢による後脛骨筋の衰えが扁平足を招く(後脛骨筋腱機能不全症)
これまで扁平足が後脛骨筋炎になるという視点で書いてきました。
後脛骨筋の衰えが扁平足になってしまう原因でもあるということも、合わせて知っておきましょう。
多くの場合は、足指の筋肉の衰えによって、舟状骨を支えられなくなることによって扁平足になります。そうではなく、原因が後脛骨筋にある場合は、後脛骨筋機能不全という症状が原因で扁平足になってしまいます。
後脛骨筋の衰えで扁平足になっている場合、足指だけを集中して鍛えるのではなく、後脛骨筋も合わせて鍛えるようにしましょう。
正しい歩き方をマスターする、かかとを上げる自重トレーニング(カーフレイズ)がおすすめです。かかとまで意識して動かすようにすれば、扁平足を治すことに繋がります。
そのほか、扁平足のトレーニング法も参考にしてください。
▼関連記事扁平足の原因は筋肉の衰え!治し方は負担の少ない足指トレーニングから
内くるぶし下の痛みは扁平足が原因の後脛骨筋炎!根本治療で安心を
扁平足が原因で、内くるぶしの下あたりが腫れ、炎症を起こすことがあります。
これは土踏まずのアーチを形づくる舟状骨の位置が下がったことにより、後脛骨筋が過剰に動いてしまい、負担が通常以上にかかってしまうことが原因で起こります。
腫れた患部が熱を持っている状態なら、アイシングや冷湿布で十分に冷やし、痛みを取ってあげましょう。そこから、インソールやテーピングを活用し、平らになった扁平足を下から支えます。
後脛骨筋炎の根本解決は、扁平足を矯正していくことになります。その際に、足指のトレーニングや後脛骨筋まで鍛えられる運動がおすすめです。
また、加齢による後脛骨筋の衰えで、扁平足が支えられなくなり、舟状骨が落ちてしまうこともあります。
足指の筋肉、後脛骨筋の衰えどちらにせよ、正しい骨のアライメントを形成するために、支える筋肉を鍛えることが必要不可欠です。