子供の扁平足を気にして、治療院や整形外科に相談する件数が年々増えているようです。現代社会の変化によって、生活スタイルそのものが変化し、足を使う機会が減ったことが原因です。
幼少期は、足の脂肪が多いため、土踏まずがなく隠れている状態ですが、小学校低学年頃(6~8歳頃)になると徐々に脂肪が取れてくるため、土踏まずが形成されてきます。
しかし、土踏まずが形成されていない子供が増えているのも事実です。
この記事の監修者
宮野先生
土踏まずの形成率に関する調査においてもわかりますが、1979年では64,6%だったものが、1988には、58.6%、2008年には、47.2%とかなり減っています。
これは、自動車の普及により歩く機会が減ったことや外で遊ぶことから室内遊びが増えたこと、都市開発や防犯の意識向上によって、気軽に外で遊ぶ人が減ったことなどいくつかの要因が考えられます。
土踏まずの形成状況によっては、運動機能の低下や疲れやすくなる、足が痛くなりやすいなど、子供の発育や発達にも影響を及ぼします。
そのため、子供の扁平足を治したい、予防したいと考えている親御さんもいらっしゃるでしょう。そこで、子供の扁平足の治し方や予防法について紹介します。
実は、子供の扁平足の治し方は、親御さんにとってもプラスな点もあるため、かなりおすすめです。
子供の扁平足はどの程度気にすべき?!足の成長過程を知る
まず、子供の扁平足についての基礎知識を知っておきましょう。
成長とともに足がどのような形で形成されていくのか知っておくと、扁平足の予防にも繋がります。また、どの程度気にするべきなのか、扁平足だった時の治し方など適した方法が見えてきます。
子供はみんな扁平足?足は徐々に成長する
赤ちゃんの足を見てみると、骨のほとんどが軟骨で小さく、誰もが扁平足です。
徐々に歩けるようになり、幼児期では骨が形成されるもののまだ柔らかく、不安定です。足の脂肪も多く、歩く頻度が多いほど、筋肉が作られていきます。
小学校低学年になると、足の脂肪も徐々に取れてくるため、土踏まずのアーチが徐々に作られてきます。13歳頃になると、骨が強くなり、大人の足に近づいていきます。
18歳頃には完全に大人の足になり、足の形状も決まります。
足が、子供から大人になるまでの過程をきっちり理解しておくと、どの程度気にするべきなのか見えてきますね。
成長過程の時に、扁平足や扁平足気味だったとしても、運動習慣をつけることにより、扁平足の予防になります。
先天性の扁平足もある!調べ方や観察方法
子供の足は、成長過程によって徐々に土踏まずのアーチが作られていきます。
しかし、足が発達しても土踏まずのアーチが形成されず扁平足になってしまう子供もいます。いわゆる先天性扁平足です。
扁平足だからといって、大問題になるかは状況によって変わります。扁平足は、足の骨の形状変化によって起こることで、痛みが発症せずに普通に生活できる子供もいます。また、扁平足のまま大人になっても、問題なく過ごせる人もいます。
ただ、問題になるかどうかはケースバイケースなので、できる限りの対処を考えても良いかもしれません。
土踏まずのアーチが徐々に形成してくる6~8歳頃は、一見、土踏まずがないように見えても、実は隠れています。
調べ方は、子供に両足重心で立ってもらい、土踏まずの部分に指を2本くらい差し込みます(第一関節くらい)。
差し込んだあと、子供の土踏まずを持ち上げてみてください。持ち上がれば、扁平足ではなく、持ち上がらない場合、扁平足の可能性もでてきます。
もう一つ調べ方があります。子供に立ってもらい、後ろから見ます。見るべきポイントは、くるぶしの位置からかかとです。
ちゃんと真っ直ぐ立っている状態なら問題ありませんが、足が内側に入っていると重心が崩れてしまい、歩行や運動の際にバランスを崩してしまいます。
バランスが崩れることにより、足腰の筋肉や関節に負担がかかり、別の問題を誘発します。
子供の足の状態を細かく観察してあげることが重要です。特に小学生の頃は細かく観察していたものの、中学生、高校生の思春期時期になると会話の数も減ってくるでしょう。
中学生、高校生時期になると運動の強度も上がってくるため、扁平足が問題になってくることもあるため、治すことを考えてもいいかもしれません。
扁平足を放置して成長するとどんな問題が?
子供の扁平足は、大人が気づいてあげることが何より大事なことです。扁平足のまま大人に近づくとどのような問題が生まれるのでしょうか。
土踏まずの役割を考えてみましょう。
土踏まずは、歩行や運動の際に、衝撃や負荷を分散するためのクッションになります。クッションの機能が働かない場合、長時間の歩行で疲れる、痛くなるなど症状があらわれます。
スポーツをやる上でも、身体を適切に使えないため、変な所に筋肉の負担がかかり怪我に繋がりやすく、記録が伸び悩むことも有りえます。
本人としても思い通りにいかないことが増えるため、自信をなくしてしまうかもしれません。
日常生活に支障があるわけではありませんが、子供の人格形成にも繋がってくる可能性も出てきます。
もちろん、すべての扁平足が大きな問題になるわけではありません。なかなか言い出しにくい子供もいるため、コミュニケーションをきっちり取るといいでしょう。
扁平足の治し方、子供編!原因や予防法は?
子供の扁平足の治し方について考察していきましょう。
基本的に幼児期は足裏の脂肪が多く、骨も軟骨や柔らかいため、扁平足かどうかはわかりませんが、健全な発育のためにも、扁平足の予防にも繋がる正しい歩き方やつま先を意識した運動をすると良いでしょう。
大人の扁平足も子供の扁平足と同様、足指の筋肉が原因です。子供の場合は、運動をしないことの未発達が原因で、土踏まずのアーチが正しく形成されないことが考えられます。
つまり、普段から足指を使った歩き方や運動の頻度を上げていくことが扁平足予防の鍵です。
昭和の高度経済成長期では、1日に2万歩以上歩くのが当たり前で、足腰がしっかり鍛えられました。家の中での遊びや車での送り迎えが増えたことにより、1日に5,000歩程度しか歩かなくなっています。
4~5歳の子供でも1日に1万歩は歩くといいと言われているため、そこを目標にすると良いでしょう。ただ、いきなり1万歩はハードルが高いので、意識して5,000歩。一日トータルで7,000歩~8,000歩を目標とするのも良いです。
扁平足は幼少期の運動不足が主な原因!親子で一緒に運動しよう
中高生時期の扁平足を予防するために、子供の頃からいっぱい歩くと良いでしょう。親子で出かけ、運動習慣を身につけることによって大人の健康も守られます。
親子で一緒に遊ぶことによって、子供は愛情を感じ、心身共に大人になっていくため、おすすめです。
例えば、サッカーボールを一緒に蹴る。野球道具を用意してキャッチボールも歩くわけではありませんが、足の踏ん張りが必要になってくるため、鍛えられます。バスケットボールも走り回る競技であるため、足を使います。
大人が好きな運動を子供と一緒にやるでもいいし、子供が興味ある運動を一緒になってやるでも、足の指先を使う運動習慣になります。
ちょっとした工夫で、扁平足の予防に繋がることが、たくさん思いつきます。
正しい歩き方が扁平足の治し方!綺麗な姿勢や骨格も形成
扁平足は、足指がちゃんと使えていないことで起こる筋肉の未発達が主な原因です。ならば、普段からの歩行も正しい歩き方をマスターして、運動の頻度を増やせば、強度の高い運動をしなくても大丈夫です。
正しい歩き方とは、地面に足をつける際、かかとから着地し、足裏全体で踏み、つま先で地面を蹴ります。
その繰り返しが足指の筋肉が発達する歩き方です。
正しい歩き方をマスターすると、姿勢も良くなっていきます。綺麗な姿勢が、綺麗な骨格を作ります。骨格がゆがむから姿勢が悪くなりますね。子供の頃からの小さな積み重ねが、大人になっても良い形にあらわれるため、きっちりと教えてあげましょう。
あと、家の中では裸足で過ごすのも足指を使う習慣に繋がります。
靴選びはきっちりと。子供用インソールを活用する治し方
子供の成長に欠かせない運動は、習慣づけるように考えるとして、もう一つ気をつけてあげた方が良いものもあります。
それは靴です。子供の足は成長が早いです。1年で1cm程度足が大きくなります(2歳半頃までは、半年で約1cm)。そのため、靴のサイズも小まめに見てあげることが、足のトラブル回避の原因になります。
子供の足は大人に比べると骨が柔らかく、サイズのちょっとした違いでも履いてしまいます。サイズが合っていない靴を履く弊害があります。大きいサイズなら、歩く際にバランスを崩してしまう。小さいサイズだと成長の阻害要因となる。
そのためサイズ感はもちろんのこと、靴の素材の柔らかさなど意識してあげると良いでしょう。
また、土踏まずのアーチをサポートするインソールを活用するのもおすすめです。特に扁平足の治し方として、大人でもお勧めできるインソールは子供にも有効です。

子供の足の変化や痛みに気づいてあげて、愛する子供にぴったりな靴を見つけましょう。
扁平足だけじゃない!足にまつわるトラブル!将来大変なことに?
幼少期や小学校時代の運動不足が、原因で思春期の時期に扁平足になってしまう可能性があります。
大人の扁平足と子供の扁平足は、似ているものの異なる点もあります。それはかけがえのない学生生活をどのように過ごせるかという点です。
例えば、打ち込んでいたスポーツを断念せざるを得ない状況や姿勢が悪くなることにより性格にも影響が出てくるかもしれません。周りの方から、見られ方も違ってくるかもしれませんね。
問題になっていない扁平足も子供だからこそ、将来大変な問題になることも有りえます。
子供の扁平足を治すべき理由を考えてみましょう。
子供の扁平足を治すべき理由!運動が苦手に?!
子供の扁平足を治すべき理由を考えていきます。
扁平足になることによって、重心が変わることや骨格がゆがむことによって、運動機能が存分に発揮できない可能性があります。中学生や高校生で打ち込んでいるスポーツがあれば、思う以上に成長せずに途中で諦めてしまう可能性があります。
頑張っているけれど、超えられない壁が出てきてしまうことで、諦め癖がついてしまうことも考えられますね。
もちろん、本人の意識の問題もありますが、成長し上達する喜びが分かれば、もっと身体を動かす楽しみが出てくるでしょう。
扁平足が直接的に関係するわけではありませんが、間接的には関係してきそうです。
姿勢の悪化による腰痛やひざ痛、視力にも?
扁平足が進むと、重心が変わってきてしまうため、骨のバランスも変化します。無意識的に姿勢が悪くなってしまい、様々な点で影響がでてきます。
例えば、慢性的な腰痛を患ったり、ひざ痛になったり。大人になっても付き合うことになるかもしれません。
姿勢が悪くなることで視力低下にも繋がる可能性があります。
扁平足で、日常生活に支障をきたさなくても、人体は連動しているため影響はでます。
骨の柔らかさが仇に!外反母趾が進んでしまうかも?
子供の足の骨は柔らかいため、変形しやすかったりします。そのため、靴の形によっては外反母趾や内反小趾を進めてしまう可能性があります。
大人でも扁平足になると、重心が土踏まずあたりになるため、親指の付け根により一層負担がかかります。その状況下でつま先が狭くなっている靴を履くと外反母趾を進めます。
大人以上に子供は関節が柔らかいため、痛みを感じにくく、気がついたら外反母趾になっていたということも。
子供の健全な足の育成のためにも、扁平足の治し方を実践してみるのをおすすめします。
子供の扁平足は早めに対処!親子で一緒に楽しい治し方を実践!
子供は年齢とともに足が成長し、6~8歳頃には土踏まずが作られます。幼少期からよく歩いて、運動習慣を身につければ、扁平足にはならないでしょう。
そのため、親子で一緒に運動をするなど、扁平足を楽しく予防することが鍵です。
一番簡単な治し方は、歩数を意識して歩くということです。昭和時代に当たり前のようにやっていた2万歩以上歩くのはハードルが高いかもしれませんが、まずは1万歩歩くのを目指してみると良いでしょう。最初から目標値が高いと途中で諦めてしまうため、徐々に段階を設けて歩数を増やしていくのも効果的です。
幼少期の運動不足などが原因で、扁平足になってしまった場合は、インソールなどを活用し、土踏まずのアーチをサポートし、運動を重ねると良いでしょう。
子供の足の骨は柔らかいため、早めに対処することをおすすめします。